あたくしの友人に、建築機械屋さんの開発担当を仰せつかった輩がおりやす。開発担当、なんて一口に言やぁ聞こえも良いってなもんでやんすが、要は出来上がったショベルカーだのなんだのを何千時間、何万時間の耐久試験にかけて、不具合やら何やらを見つけて直すってな仕事。事故が一度起きちまえば大変なことになりやすんで、そらもう、尊い仕事だってのはわかるんですがね。九州の人里離れた山奥で朝から晩まで穴掘って埋めて、埋めた穴をまた掘って、また埋めて...こんなことを何週間もやるってな話。なんだか、ナチスの拷問にそんなのがあったとかなかったとか聞いたことありやすがね。意義はわかろうってなもんですが、運転中の瞬間瞬間にそんな大儀なんざ感じられようもねぇってのが人の子ってもん。「大変でやんすねぇ。同じこと繰り返すってのは。」って労ったあたくしに言ったセリフは、
「孤独が一番ツライ。ずっと一人で運転してると、おかしくなる。」
と言ってやがりました。試験ですから、周りにゃぁ色んなデータを計測する輩もいるんでしょうが、運転は一人でやるもんで。ずっとそれが何週間も続くってなぁ、傍目から見える以上に孤独だったってことなんでしょうね。そいつはその仕事辞めちまって、今は家業をついでボンボン暮らしってやつでやんすよ。
もひとり。あたくしの高校時代の友人が、念願の司法試験をパスして、その手の修習生ってのになりやした。裁判官とかと話したりする機会もあったようで、(裁かれちまいそうなあたくしとしては)連中の弱みはねぇのかよ、などといった無茶な質問を酒の勢いで浴びせてやったもんです。SMマニアだかなんだかで自分で縛って死んじまった人がいるとか、そんな馬鹿げた話のオチとしちゃぁ重てぇ内容なんでやんすが、
「重い判決を世界中から『お前が下せ』って言われてるプレッシャーを感じて、途方もなく孤独になる。」
ってエピソードが印象的でやんした。いくら、色んな決まりがあろうと、みんなで決めたことであろうと、「よぉ。こいつに引導を渡せよな。」って声に囲まれた挙句に、目の前で青くなってる輩に「お前、これから死んでもらうぞ。」だなんて言うってなぁ立場なんざ、常人には想像もつかねぇとんでもねぇ孤独な世界なんだろうな、と。
はてさて。丹波鉄郎が言ってやがりました、「最も重たい罪を犯した人間は、死後の世界で孤独刑を背負う」ってな寓話。何万年も、一人でいる。オカシクなろうとなんだろうと、誰もいねぇ。ガキの時分に、この話は身震いしちまうような怖いものでやんしたな。高熱が出ると決まって、樹木になっちまったり工場の部品になっちまったあたくしが、ひたすら孤独に耐えてるってな夢を見たもんだし。
丹波鉄郎の話みてぇに、誰から見ても孤独ですってな人なんか、そうそういやしません。傍目で見えてる以上に、そこにいるヤツがとんでもねぇ孤独に耐えてるって話がほとんどでね。でもね、なかなか気付いちゃやれねぇんですよ。だから、ちゃんとツライって言えよな、って話でやんす。今週の「冥土の土産」に冗談とコバナシを期待してたお客人は、とっととマウスをカリカリして頂戴。
新しい環境で右往左往してるお前さん。この不況に仕事が見つかったのは有難い話だから、なんて我慢しちゃいけねぇよ。寂しいんだって言っちまいなさいよ。
家族の重圧の中で、思い通りに生きられねぇお前さん。家族のためってのは尊いことかもしれねぇが、誰にも話さないで一人で我慢しちゃいけねぇよ。キツイって言っちまいなさいよ。
こんだけ周りに人がいるってのに、自分らしくいられねぇで背筋ばっかりのばしてるお前さん。爆発寸前まで澱みを貯めて、たまぁに昔馴染みと呑んでウサを晴らすだけ、なんてことはしちゃいけねぇよ。便利な道具があんだから、ちゃんと繋がってるから、いつでも愚痴りゃいいじゃねぇか。一人で我慢するんじゃねぇよ。
松本零次のマンガに「コックピット」ってのがありやす。撃墜王が主人公のエピソードで、敵も味方も全部死んじまっても、自分だけは必ず生き残るってなヤツの話。英雄扱いされちゃぁながらも、実はとんでもなく孤独だったってな話で。傍目からどう見えてるか、とか、他の人はもっと辛いんだから、とか、そんなことで我慢しちゃいけねぇよ。お前さんらは、自分の目ン玉で見てる世界でもって生きてんだから、葬式だの結婚式だのに出席してやるかもわからねぇような他人と自分を較べて、まだマシだのなんのと誤魔化すなんてこたぁ、よろしくない。自分が孤独だなぁ、なんて思ったら、否、思う前に、ちゃぁんと澱を吐き出しやがれよ。「たまらねぇよ」って、言いやがれよ。あたくしの方まで「そんなことも言ってくれねぇなんてよ」ってな孤独感が伝染しちまうからね。
あたくしのためにでも良いから、ちゃんと言いやがれ。この野郎。
ってなわけで、今週の一枚。
あんまりにヤラシくて、熱が出そうな一枚。お天道様の下じゃぁ、とても聞けねぇシロモノ。
このくらい正直に、求めて良いんじゃねぇか?
あたくしもがんばらねぇから、お前さんらも、がんばるな。
またしても車を物色中のあたくし。「この前は一度は乗ってみたいフランス車」ブームが脳内全快だったもんでやんすから、映画のブームでカローラ状態になっちまったプヂョーを避けて、稲垣吾郎が事件を起こしたことで有名なシトロエンに決定しやした。ところが一転して、最近はウィンタースポーツ・ブームが脳内に到来。思い起こせば10ウン年前、世間ではユーミンが「ゲレンデのカフェテラスでぇ~」なんて唄いながら、白銀の世界を若いカップルがお手を繋いでレッツ・スキー!な頃、貧乏学生のあたくしはトビ職やりながら学資をためていたってな四畳半フォークなオハナシだよ。
「俺さぁ、スキー○級なんだよねぇ。就職決まらなかったら、インストラクターになろうかなー。」
なんて江口洋介の影響を受けたロン毛(長髪ではないんでやんす。あくまで、ロン毛。)をサラサラさせてやがったキャンパス・ジゴロどもを横目に、
「あたくしはさぁ、溶接とクレーンの免許持ってやがるんだよねぇ。就職決まらなくっても、食い扶持には困んねぇんだよねぇ。」
これじゃぁ、バブルの世界を軽やかには生き抜けねぇって具合だよ。「けっ。大学生ってのはよぅ。勉学と勤労。これに決まってるじゃねぇか。」と突っ張っちゃぁみたものの、人知れず指を加えながらアメリカン・クラッカーみてぇな大粒の涙で枕を濡らした夜もあるんだぜ。


そして、アメリカン・クラッカーのように泣く大左ェ門。
ひとっつ、ひっとよぉりちっからぁもっちぃ

柔の道はチビシイだス
そんな西側世界にあるまじき禁欲的な大学生活を送ったあたくし、今年を「ウィンタースポーツへの復習元年」といたしたい。初心者をバカにしねぇゲレンデについて、情報大募集中だよ。あたくしは。
そんな学生時代、興味と言えば楽器と車。そうは言っても貧乏学生さんが車なんぞ持てるはずもねぇ。たまぁにトモダチの車転がしてみたり(ブルーバードのターボ。なつかしぃ。)トビのオヤジの車を運転手として転がす位が関の山ってな具合だ。それでも随分ワクワクしたもんでやんすけどね。トビのオヤジの車は、「いつかはクラウン」。しかし、運転の荒い神風六十代の運転によって、あっちゃこっちゃがへこんでるかつてのVIPカー。そろそろ買い替えだね、ってな時に、オヤジは言いやした。
オヤジ: おう。つ。レジェンド、ってのは、どういう意味だ?
つ。 : 伝統とか、そういうカンジでやんしょ?
オヤジ: 光るアレか?
つ。 :そら、電燈だよ。オヤジ。
オヤジ: 俺が小学校中退だからって、おめぇ、バカにしてやがるな?(ごつん)
本当に小学校中退かどうかはわからねぇまでも、生粋の叩き上げのオヤジ。MS-DOSしか動かねぇ98ノートに電話線くっつけて、当時としちゃぁ珍しいオンライン・バンキングなんかやってるってのに、横文字はさっぱり。「プライバシー」を新しい料理用具だと信じて疑わなかったお茶目な六十代。
で、納車されたのは何のこたぁない、ホンダのレジェンド。なかなか落ち着いた、それでいてオッサン臭くねぇ良いカンジの印象でやんす。早速あたくし、新宿のマンション建設現場までの運転を仰せつかったてってな寸法で。クラウンが良い車だってのはわかってたんでやんすが、そこは新車。気分も爽やか、走りも静か。ラジオしかなかった車にカーステがついていやがるし。これで「芥川タカユキの演歌だヨ!」ばかりを聞かずに済むってなもんだ。走り出してすぐ、クラクションを押す位置に妙な金具を発見したあたくし。何だこりゃ?と思いつつも、まぁ、新しい車だからなんかに使うんだろうくらいにしか思ってなかったんでやんす。その日の現場の帰り、渋滞の首都高速で後部座席からオヤジがあたくしを呼びやした。
オヤジ: つ。おい、そのダッシュボード開けてみろ。
つ。 : はい。開けやした。
オヤジ: マイク出せ、マイク。
つ。 : マイク?
すると中から出てきたのは、カールコードのバスガイド用マイク。一体こんなもの、何に使うんだと思ったあたくしにオヤジは一言、
「ステレオに挿せ。」
探してみりゃぁ、付いてやしたよ。マイク端子。なんでカーステにマイク端子?と思うあたくしに畳み掛けるように
「このテープ、かけろ。」
ラベルも何もない、まっさらなTDK60分ノーマル。言われるがままにテープを差し込んだあたくしの聴覚をそこそこの大音量で奪ったのは、鳥羽一郎の「兄弟舟」でやんした。
日焼けした顔を更に赤らめて熱唱する六十代。聞きなれたとは言え、これまではラジオにあわせて口ずさむだけでやんしたが、新車レジェンドからは前後左右のスピーカー4発からオヤジの歌声が。こらえること約4分。一曲終わったオヤジは、ゴクリとウーロン茶を口に運び、汗を拭いて癒すいやす。すると数秒間のブランクの後に、またイントロが...
・・・繰り返されることさらに数回。ああ、このテープは、これしか入ってねぇんだ。あたくしはこの猛暑の中、ずっとこの唄を聴かされるんだ、と朦朧とした意識の中で諦めかけたその時、ちょっとしたノイズを再生A面が終わりを告げたのでやんすが、貴君らもご存知の通り、テープの終わりは突然、音もなくやってきやがります。
型はぁ、古いがーぁ。時化にはぁー、つよ...(テープ終了)
ん”ん”-ん。ゴクリ。ゴクゴクゴク。
絶対、このオヤジはテープのひっくり返る瞬間を練習したぜ、ってなリズムの合い方だよ。オートリバースのタイミングで汗拭いてお茶飲んで、そんでもって音の入りのタイミングにぴったり合わせる芸当。3日は練習したはずだね。それも、猛練習のはずだね。
そうして繰り返される兄弟舟と猛暑のせいでオーバーヒート気味のあたくしのヘッドレストから、ごついオヤジの腕が伸びてきやした。
オヤジ: お前も、歌え。
つ。 : いや、運転中でやんすから。鼻歌とかでいいですかね?
オヤジ: マイク、あるんだから使えよ。マイク。
つ。 : いや、でも、両手ふさがってるし(マニュアルミッションの車でやんした)
オヤジ: そこに、ひっかければ良いだろう。バカ。
そこって、あ?この金具?あー。フック?マイク引っ掛けるフックだったんでやんすか...。
上司に逆らえないサラリーマンよろしく、オヤジの言いなりでもってフックにマイクを引っ掛けて、ハンドルに顔を近づけて唄うマヌケなあたくし。マイクを通したあたくしの声より、後部座席でハモってるオヤジの声の方が、はるかにデケェ声なんでやんすが、そこはそれ、共同作業ってなイメージでもって円満な車内。ひとしきり唄い終わっても続く次なるイントロ。あたくしは思ったね。
平和島料金所を降りて、近づく家路。混雑のせいか、もう夕日が傾いてるってな時間でやんした。夕日を眺るオヤジ。オレンジ色の陽の光は、60年以上を生きた男がたたえる皺の一つ一つを、それがあたかも年輪であるかのように見せるグッと来る演出をしてくれるってなもんです。
オヤジ: おい、つ。
つ。 : へぇ。
オヤジ: 良い車だろう?え?こういう車を買えるようになるまで、色々あったんだぜ。俺も。
つ。 : はぁ...。
オヤジ: そういう、苦労の積み重ねってやつか?そういうの、喋くるのは性に合わねぇんだけどよ。
まぁ、なんてんだ?この車、俺の「兄弟舟」みてぇなもんだ。そう思わねぇか?
つ。 : え?兄弟舟...でやんすか? あぁ...まぁ、そんな風にも、まぁ、なんてんでしょうね。まぁ、そんなカンジで...
オヤジ : おめぇ、この車のこと、これから「兄弟舟」って呼べよ。いいな?俺とお前の、兄弟舟だ。
つ。 : え?あたくしも?
あたくしたちを乗せた兄弟舟は、その後の4年間ほどを建設現場とバブルの波の谷間をかいくぐったのでやんすが、ある日トラックに追突されて都会の海に「沈没」と相成った次第でやんす。
さて、ここらで本題。
酒飲みながら聞くのに最適なアルバムのリクエストを頂戴したので、今日はコイツをご紹介だよ。
理屈は今日は抜きでやんす。
あたくしが中学生の時に、ピーター・バラカンが紹介してた、あまり耳慣れないアーティスト。極端にしわがれた声で、ちっぽけな人のちっぽけな機微が唄われてるだけの曲がずらり。よく、この人は酒に合う、と言われたりしやすが、逆。酒がこの人を放さない。ジャズなのかブルースなのかわからないジャンルでやんすが、あえてジャンルを決めるなら、子守唄、としておきやす。大人向けの。
レコードレーベルが80年代の映画出演以降に変っちまって、なんとなくロック色が強くなり、ロッド・スチュワートに名盤「Rain Dogs」の「Down Town Train」をカヴァーされて(これは名曲でやんす)、一躍有名人になっちまいましたが、あたくしとしては初期のアサイラム・レーベルにいた頃の方が、子守唄の度合いが高ぇって意味でオススメでやんす。あまりベスト版はオススメしないようにしてるんでやんすが、ちょいと灰汁が強い御仁なので、まずは初期のベストをオススメする次第。
不覚にも泣いちまったのが14曲目の「Ruby's Arms」。惚れてた女のどこを思い出すか、って時に、自分を抱いてくれてた腕を思い出しちまうっての、ちと辛すぎやしたね。これがおっぱいとかケツだったら、唄にはならねぇけどね。あー、良いオンナの前ではいくつになってもガキでいようじゃねぇかと。良さがわかったら、ちょいと歳とったってことでもあるんですがね。
世話になった溶接屋のオヤジに捧げます。合掌。
あけおめ。ことよろ。
てなわけで今年も始まっちまって2週間が経とうってのにUpしねぇもんだから、随分と各所からお叱りを頂戴したあたくし。今流行りのかどうかはわかんねぇんですが、ウィルス系(コンピュゥタァのじゃぁねぇよ)にやられて長患いってな年明けでやんした。正確に申し上げりゃぁ、暮れの時分から娘ともども寝込んでたようなもんだから、クリスマスも正月もありゃぁしねぇ、ってな調子。あ、そうそう。昨年引越ししたもんだから、随分と遅くになってから年賀状が転送されてきやした。時期もすっかりおっ外しちまったから、近いうちに「引越しやした」のお葉書でも認めようかってな所存だよ。
そんなこんなの年末年始でやんしたから、お年玉の代わりにってなことで娘と企画してたデートも全部お流れ。こいつは仕方ねぇってんで、トイザらス (なんで「ら」だけ平仮名なんでやんしょうね?ご存知の野郎共は、是非コメントを頂戴。)でお年玉代わりになにかオモチャを買ってやろうかってなことに。あーでもねぇ、こーでもねぇ、という4歳児による小1時間程度の厳正なる吟味の結果、選ばれた栄えあるオモチャはこれだ。

一見すりゃぁリカちゃん人形かバービー人形かってな具合の、着せ替え人形でやんす。で、あたくしはリカちゃんだけは避けていただきたい、と頑張る娘を説き伏せた。「まぁまぁ、子どものオモチャじゃないのさ。」と居直っちまうのは簡単なんでやんすがね。あたくしはどうも、最近の誰でもプチセレブってな馬鹿げたムードを、それこそガキの時分から植えつけたのがリカちゃんじゃねぇかとにらんでるんでやんすよ。これがシンデレラよろしく、お姫様になりてぇ、ってなぐらいに非現実なら笑ってられるんでやんすがね。現代の日本に生まれちまった子どもなら、成長していく過程で「あ、姫なんざ、いねぇやね。この国は。あの不細工のしか、いねぇ。」って自然にぶち壊れてく夢だし。一方、リカちゃん家ってのは、「なんだか運が良きゃなれるんじゃんぇか?」感があっていけねぇんだよ。親父が音楽家でお袋がデザイナー。住所はハートヒルズ?どこだそいつは。(千葉とか相模原とかのちょいとイナカな地域が背伸びしてつけそうな街名だ。)この段階で日本国民のコンマ数パーセント?にまで、その血統が限定されちまうんじゃねぇかと思われやすが、「姫」に較べりゃ、まだまだ身近でやんす。それがリアルでいけねぇよ。東京西部の呑んべぇ横丁に隣接した地域でもって、ガラッぱちの親父をもつ娘が「プチセレブ」だなんて夢を抱かねぇように気をつけてやるのも、親の勤めってなもんでやんしょ。
で、このシンデレラ。着替えができるんでやんす。シンデレラってったら、ボロ着からドレスに早変わりってのが真骨頂だと思うんでやんすが、そこはオモチャ、ドレスが2着という始末。このドレスにあわせてネックレス等のアクセサリも交換できるんでやんすがね。購入して最初に悩んだのは、どうやってこの頭でっかちから、この細いネックレスを交換できるのか、ってなこと。ゴム製で伸びるってんでもなし、後ろから外れるってな高級品でもない。ただの輪っか。あれこれ悩んで説明書を読むと、
「ネックレスの交換は、人形の頭部を外して...」

ネックレスも変えてくれとせがむ娘を前に、仕方なく首をポンッ。取れやしたよ。シンデレラの首が。首を取られたってのに、へらへら笑ってる不気味さ加減。まさしくこれ、化け物。もしも裁判大好きのあの国だったら、「おーぅ。バービーの首が取れるなんて許せませーん。」ってなことになって、すぐに告訴だよ。告訴。あたくしもネックレスをたまにつけたりもしやすがね。こんなもんで遊び続けてたら、
「3○歳 男性、惨殺さる。 - 4歳娘が断首。都会の猟奇殺人 -」なんてことになって、またひとつ少年法の改正に一役買っちまうところだよ。
考えてみりゃぁ、日本人てのはこういうのに鈍感なんじゃねぇかっていう。だって耳なしホウイチなんざ、ありゃハリウッド的感覚で見りゃぁ、立派なスプラッタだよ。念仏を身体中に書いた男がいて、夜中に化け物が出てきて生きたまま耳をひきちぎろうなんざ、なかなかディープな恐怖。映画化なんかしたら、すげぇリアルな生首ならぬ生耳とか作っちゃうんだぜ。それに牡丹灯篭とかもゾンビものとしちゃぁなかなか秀作なはずでやんすよ。腐った死人が出てきて男を襲う、みてぇな。これだってリアルな腐乱死体をハリウッドなら作れるんじゃねぇかと。そんなディープな恐怖だってのに「こわいおはなし」みてぇな名作全集よろしく小学校の図書館に蔵書されてる国ってのも、なかなかお目にかかれねぇはずだよ。そうやってガキの頃から慣らされてりゃ、「ふーん。ホウイチねぇ。」てな具合で生耳の話をさらりと聞けちゃう国民性に仕上がろうってなもんだ。シンデレラの首が取れる程度じゃぁ、ハナクソにもならねぇよな。ほんと。
さておきこのオモチャ。ト○ー製。前回の西日暮里のオカマバーのママみてぇなオーロラ姫人形と言い、ディズニーキャラクターってのはもうちっとディズニーランドのような徹底ぶりが必要なんじゃねぇかなと思った次第。人形の結い髪がほつれてきて、どんなキレイな女の子もやがては「おしん」みたいにくたびれちまうのは仕方ねぇと思うんでやんすがね。
さてここいらで本題。
musically adrift / Samuel Purdey
あまり聞きなれない御仁も多いかと。サミュエル・パーディーってのは人の名前でなくユニット名。初期のジャミロクワイのメンバー(ドラム、ギター)が2人が作ったユニットでやんす。スティーリー・ダン狂で有名らしいので、どうしたって本家スティーリー・ダンと較べる批評を目にしますが、これはもう別物と思って間違いなし。そして、棄て曲一切なしで、誰に薦めても買って良かったと言うアルバムでして。
確かに最近のジャミロクワイを聞くと、アンチっぽかった毒気はなくなったしジャズファンク色も目減りしたしの、昔のディスコ・ファンクの焼き直し的サウンドになってて、聞いてて飽きるって方も多いです。あたくしはそれはそれで好きですがね。ただ、この2人がどういう影響を初期のジャミロクワイにもたらしていたかってぇのは、デビューアルバムの「Emergency of ~」に入ってた曲と、Cannned Heatとかの最近の曲を聴き比べるとなるほど、よくわかるってなもの。そしてあたくしは、初期のジャミロクワイが大好き。だったら買っちまおうか、ってな簡単な動機で買ったんでやんすがね。
一旦は有名になると出来ちまう贅沢ってのがあって、ドリカムがEW&Fのモーリス・ホワイトと共演しちまったみたいな。この2人にとっては憧れのスティーリー・ダンのエンジニアを起用することだったようで(地味だけど本質的)。エリオット・シャイナーってなエンジニアなんでやんすが、スティーリー・ダンのほとんどのアルバム(ドナルド・フェイゲン名義も含む)で大活躍した御仁。アナログの匂いをぷんぷんさせながら、透明感があって邪魔にならないサウンド。でも小じんまりしてるわけでなく、ちゃんと人間の心臓が動いてるんだぜ、ってなビート。このあたり、聞いていただくのが早いですな。
1曲目の「Whatever I Do」、 2曲目「Valerie」あたりは、確かに。初期から中期のスティーリー・ダンっぽいサウンドでやんす。アレンジが、って意味では。メロディのセンスは、あたくし的にはサミュエル・パーディーの方が圧倒的に聞きやすくて切なくて良いな、ってな具合。この2曲であとはクズ、ってんだったらタダのモノマネバンドになっちまいそうなところでやんすが、80年代後期-90年代初頭のジャズファンク色もしっかりと聞かせる曲(4曲目、5曲目)もあったりで。スティーリー・ダンでもギターソロをお見舞いしてたエリオット・ランドールが良い感じでソロ弾いているし(ブラスの絡み方なんかは、スティーリー・ダンの倅、ってなカンジでやんすがね。)
ま、Acid Jazz経験者の30歳前後なら、まず迷わず買って損はねぇよ、ってな。聴く場所もシチュエーションも選らばねぇし、あたくしのiPodでもヘヴィーローテーション。ほんと、薦めたかったんでやんすよ。これ。