February 23, 2005

電車でGo(その2)

はてさて、ぼちぼち引っ越し先の準備も整った「冥土の土産」。そろそろ、この音楽系ブログも無理があるんじゃねぇかって思いはじめたあたくし。かれこれ8ヶ月も続けてきて、毎週毎週、飽きもせず素敵なアルバムを素晴らしいレビューでご紹介、ってなつもりだったんでやんすがね。この半年で、あたくしのブログを経由して読者諸君が購入しなすったCDは、さて、一体何枚だったか。ログ見てたまげたね。

購入枚数:   1

...。あたくしのブログは、やっぱりコバナシ系だったんじゃねぇかとガックリ肩を落としたもんだよ。テメェの涙で、溺れ死んじまいそうな夜を幾晩も過ごしてあたくしは考えた。困った時の、新装開店。焼肉とサウナとパチ屋の町、川崎-蒲田界隈で青春を過ごしたあたくしとしちゃぁ、そんな程度のアイデアしか浮かびゃしねぇってな寸法だ。てな訳で、ぼちぼち新装開店いたしやす。

さて、東京のバカヤロウだの東京砂漠だのってなオチでもって終了した前回の「電車でGo」。今日はその続編と来たもんだよ。

東京南部から神奈川海沿い地域を、それこそ非合法な速度でクネクネとぶっ飛ばす男の列車、京○急○線。そんな荒くれ者の電車でも、良いこともありやんした。雨の日、シートに座ったあたくしの目の前に立った、バカップル。ベタベタくっつきながら、内緒話なのかチューなのかわからねぇビヘィビヤーを続けていやがります。曇ったガラスに、

「マサオ(仮名) VS カズコ(仮名)」


なんて指でなぞっちまったり。「あのな、そういう時は、『VS』とは書かねぇんじゃねぇか?好きなだけ闘えよ、バカ。」と思いながら読書中のあたくし。
そのうち、あたくしの前に立ちはだかりやがったバカップル。野郎の方が、濡れた傘を吊革に引っ掛けるという荒行に出なすった。小鷹信光の「探偵物語 赤き馬の使者」を熟読中で、すっかり70年代にタイムトリップ中のあたくしは、そんなバカの荒行にも気付かねぇでおりやした。するとその隣に立っていた御仁。ヘアースタイルは、モンキーズというか、ジェームズ・ブラウンと言うか。

mickydolenz.gif
へいへい、うぃあ、もんきぃず

James_Brown.gif
てぇことは、よく見りゃ似てるこの二人ってなことか。

この素敵な60年代風のオジサン。すぃーっと左手を座っているあたくしの目線のあたりに持ってきなすった。ポタリ。傘を伝って落ちる雨水を(しかもバカ面こいて熟読中でなぁんにも気付いてねぇあたくしのために)左手で受けなすった。目線も変えず、一言も発さず。それに気付いたバカップル(オンナの方)が、バカ男を肘で突付いて、傘を下ろさせ、「すんません」と一礼。

あたくしは感激に打ち震えたね。こりゃぁ、男だ。いや、漢(オトーコ)だ。それも、厚かましくねぇし、暑苦しくもねぇ、ジェントルメンだ、と。

珍しくすがすがしい気持ちになれたあたくし。絶対にあたくしも善行をしようじゃねぇかと誓ったもんだよ。一日一善だよ。高見山と笹川良一が言ってたことが、今頃になって実感できたよあたくしは。

そして翌日。同じくタイミングよくシートを確保した京○急○線車内。なんと、杖をついたおばあさんが乗ってくるじゃねぇか。あたくしの善行センサーが感知したのは申し上げるまでもねぇ。すっくと立ち上がったあたくしは、「あ、こちら、どうぞ。いえいえ、良いんでやんすよ。いや、ね。あたくしはすぐ降りやすから。」
感謝の言葉を頂戴し、あまりのスガスガしさに心はその昔、少年ジャンプに連載していた「キックオフ」の主人公、ちょっぴりお調子者の永井太陽といった塩梅。


kickoff.gif
サッカー漫画のクセに、まったくサッカーしねぇで、やれ文化祭だのバレンタインだのと、すがすがしく女にウツツを抜かすアレだよ。アレ。

そんなすがすがしい気分の車内は、いつもよりホワイトがかかって見えてみたりするもんで、なんだか良い気分だったりするんでやんすが、なんとなぁく視界が斜めに、なんて思ってたあたくしは、派手な音を立てて仰向けに転倒。何のことかと思やぁ、親切にされたおばあさんの杖に引っかかって、転倒しちまったってな具合。キャップを目深に被ってU2のボノみたいなサングラスをかけていたあたくしでやんすが、帽子は明後日の方に飛んでっちまうわ、サングラスは片目が見えるくらいに斜めってやがるわの体たらくだ。帽子を拾ってくれた若いネェチャンにお礼もそこそこ、あちこちから善行の後に非業の最期を遂げたあたくしに向かって声援が飛ぶ。「大丈夫ですか?」「あらら、帽子が飛んでるわ...」そんな声援の裏側には、三日月型の、笑いを押し殺した表情が見て取れるってなもんです。ドイツもコイツも、笑ってやがります。
「すいませんね。本当に、あらら、ごめんなさいね。せっかく親切にしていただいたのに...ほんとに、あらあら、どうしようかしら...」

頼むから、あやまらねぇで下さい。あたくしはこの時ほど、ミクロマンに憧れたことはありやせんでした。


microman.jpg
....。

「畜生、恩を仇で返しやがって」とうそぶいてみても、悪ぃのはあたくし、ってのが、また我慢ならねぇんだよな...。

と軽く恥を晒したところで、今週の(恐らく冥土の土産最後?)一枚。

Kado.bmp

Weekend Fly To The Sun / Toshiki Kadomatsu

日本人をあんまり取り上げない「冥土の土産」でやんすが、今回は珍しく角松敏生。90年代の活動休止期もあって、なんとなーくメジャーシーンから一歩引いたカンジもありやすが、30代から上のファンってぇのは、それこそエルビス・プレスリーはまだ生きてるんじゃねぇか、ってな位の熱狂振りで今だにファン街道まっしぐらってぇパターンが多かったり。ちょいとか細い、夏のAOR風ってぇと、もうこの人と、御大の感もある山下達郎くらいしかいねぇなぁ、と。ルックスが劣悪の山下達郎に較べて、なんとなくヤサ男風の角松の場合は、女性に熱狂的ファンが残存してる傾向があるようなないような。
1枚目のアルバムが、後藤ツグトシとかの、名うてのセッションマンで固めてた「気の効いた夏のJ-Pop系」だったのに対し、2枚目はわがままの限りを尽くしたかのような、米国系セッションマンで固まってるってな塩梅。ベースなんかで言うと、あたくしの大好きなルイス・ジョンソンがバッチリとミュージックマンでスラップを決めまくっていやがります。それこそ、親の仇みてぇに弦をビシビシゴツゴツと。そんなサウンドメイクなもんだから、結構クルーズミュージックってな印象が強くなっちまって、ミュージシャンにスゲぇの集めちまったせいか、ボーカルは聞こえにくいし、ってなミックスになってやがります。萎縮しちまったのかなぁ?でも、それも仕方あるめぇ、ってなメンバーが揃ってたり。
後期(ってぇか、最近の方)の角松サウンドは、キラキラピカピカのゴージャスなものになってやがるんですがね。ダークな曲もあったりで。あたくしは、この時期に耳慣れちまったせいか、デジタル臭くないこの頃のサウンドが好みでして。アナログ機器でアナログレコーディングの最高峰が体現できてた頃(つっても、一部にデジタルがバッチリ入ってたけど)の音ってぇのが、ホントにそそりやがります。時期的には80年代初頭ってぇところでやんすかね?ヘッドホンで聞いて見ると、そんなに上下左右に広がってねぇで、心地よく窮屈な重なり具合。でもって、音質は70年代くらいまでのようなくぐもり方がしてねぇよ、ってな。世代なんでやんすかね。

なんだか、ベースが好きだってな方にお勧めになっちまうんですが、あたくしがベース弾きなもんでご勘弁。2曲目のRush Hour、4曲目のSpace Scraperがたまらなく好きでやんす。なんだかベースソロの中にボーカルが聞こえてくる?ってな具合のウルササ加減なんでやんすが、楽譜にすりゃぁその位に音数の多いベースでも、ひとっつもやかましくねぇという。これ、今の角松サウンドにも通じてるなぁ、と。ベースに遊ばしてくれる。良いクリエイターだよ。ベーシスト冥利に尽きるってなもんだよ。こんなに好きにやらしてもらってよぅ。
あたくしなんか、アフリカ人とジャムした時に「おまえ、ベースのクセにうるさい。」って唾飛ばして怒鳴ってきやがったもんな。あたくしがいっぱい弾くとうるさくなっちまうんだよなぁ...。くそっ。スタジオの中で屁をこくようなヤツに言われたかねぇよ。アフリカ中央テレビめ。